「たるみ」や「ハリの低下」が気になり始めたとき、切らないたるみ治療としてまず名前が挙がるのが高周波(RF)リフティングです。日本でよく知られているのはサーマクール、韓国のクリニックで使われているのがXERFです。どちらもモノポーラ高周波で、違いは「熱をどう届けるか」と「どの層まで届くか」、そして施術中の体感にあります。 原理から効果が出るまでの時間、痛みとダウンタイム、研究が示していることまで、選ぶときの判断材料を整理します。
モノポーラ高周波(RF)リフティングとは?
モノポーラ高周波リフティングは、皮膚の深い層(真皮〜SMAS上部)に熱エネルギーを届けて既存のコラーゲンを収縮させ、そのあとに新しいコラーゲンがつくられる再生反応を引き出す施術です。切開が要らず、ハリの改善と小じわの緩和が期待できるため、手術のダウンタイムが負担になる方に選ばれてきました。
「モノポーラ(単極)」とは、電流が1つの治療用電極から組織を通り、接地側へ戻る回路のことを指します。サーマクールもXERFも、この方式に含まれます。
技術的な課題は「焼くこと」ではなく「制御された熱を積み重ねること」です。 表皮は冷やしながら、真皮だけを選んで温める——この種の施術の要はここにあります。
サーマクールとXERFは何が違うのか
| 項目 | XERF | サーマクール |
|---|---|---|
| 周波数 | デュアル(6.78MHz + 2MHz) | 単一(モノポーラ) |
| エネルギーの伝え方 | 分割照射で層ごとに積み上げる | 強いエネルギーを一度に伝える |
| 体感 | 温めていく熱感 | はっきりした引き締め感 |
| 目指すところ | 均一なハリ・自然な改善 | 即時の収縮・積み重ねた使用実績 |
| ダウンタイム | 日常復帰は早め | 日常復帰は早め |
これは優劣の話ではなく、エネルギーの伝え方と、届く深さの違いです。実際にどちらを選ぶかは、いまの肌の状態、痛みの感じ方、望む結果によって変わるため、カウンセリングでご相談のうえ決めていきます。
サーマクールの方式——単一周波数の強いエネルギー
サーマクール(Thermage)は長年の臨床データを持つモノポーラ高周波機器で、単一周波数の強いエネルギーを一度に伝え、真皮のコラーゲンを即座に収縮させることに強みがあります。体感ははっきりした引き締め感で、施術中に皮膚が引き締まっていく感覚があります。表皮はクーリングで守り、熱は真皮に留める設計です。
単一周波数では熱がどの深さに分布するかはその周波数で決まり、調整はエネルギー強度とチップの選択によります。積み重ねられてきた使用実績と、その場での引き締まりを重視する方が選んできた方式です。
XERFの方式——デュアル周波数と分割照射
XERFは6.78MHzと2MHzのデュアル周波数を使い、皮膚の異なる深さに熱を分けて届けます。Wave Fit Pulseという分割照射で、一度に強く入れるのではなく、熱を層ごとに積み上げるように設計されています。
- デュアル周波数:浅い層と深い層にエネルギーを分散 → 表面への刺激を抑えながら深部まで到達(皮膚全層のスキンタイトニング)
- 分割照射(パルス):一度に集中させないため、痛みや熱感の負担は比較的少なめ
- 広い範囲をムラなくカバーしやすく、均一なハリの改善を目指す施術に向く
繰り返し受けるとコラーゲンは少しずつ蓄積しますが、何ショット打ったかよりも、その設定が自分の肌に合っているかのほうが結果を左右します。同じ機器でも、エネルギーレベルと照射の仕方が違えば体感も結果も変わります。
6.78MHzと2MHzでは、届く深さが違います
一般に、超音波・高周波・レーザー機器は周波数が高くなるほど組織への浸透は浅くなる傾向があります。6.78MHzのような高い周波数は主に真皮層をターゲットにするもので、多くの高周波リフティング機器が使っているのがこの周波数です。
XERFの特徴は、2MHzという別の周波数を組み合わせた点にあります。2MHzは相対的に低い周波数のためより深くまで浸透し、皮下脂肪層と一部の筋膜層までエネルギーが届きます。これによって熱が皮膚の全層に広がり、structural skin tightening(構造的なタイトニング)と呼ばれる特性につながります。
コンピュータシミュレーションと組織学を併せて見た研究では、2つの周波数が皮膚の中で熱を伝える様子が互いに異なることが確認されています。
- 6.78MHz は真皮と線維性中隔(fibrous septa)に沿って熱を局所的に集中させます。特に垂直に並んだ線維性中隔で熱反応がより大きく現れました。
- 2MHz は周波数が低いぶん深く浸透し、皮下脂肪層まで広く熱を伝えます(浸透の深さは周波数の平方根に反比例します)。
2つの周波数を重ねると何が起きるか——「DEEP」の意味
同じ研究で2つの周波数を一緒に使ったところ、真皮と皮下脂肪の境界部により明確な熱反応が現れ、真皮深層と線維性中隔のコラーゲン・弾性線維の変化が単一周波数よりも目立ちました。
注目したいのは、脂肪細胞が失われることなく構造が保たれていた点です。つまり作用の向きはボリュームを減らすことではなく、リフトに関わるコラーゲンと線維の構造を組み直すことにあります。ほうれい線、マリオネットライン、二重あごのように脂肪も一緒に下がってくる部位で、2つの周波数を併用する意味はここにあります。
効果はいつ、どう出るのか
高周波リフティングの効果はゆっくり現れます。ただし人によっては、一部の引き締まりをその場で感じることもあります。
| 時点 | 皮膚の中で起きていること | 体感 |
|---|---|---|
| 施術直後 | 熱を受けた既存のコラーゲンが即座に部分収縮 | 軽いタイトニング・ハリ感 |
| 2〜4週 | 創傷治癒反応が始まり、リモデリングが動き出す | 変化が静かに続く |
| 2〜3ヶ月 | 新生コラーゲン・エラスチンが増えてくる | 本格的なハリと肌質の改善(個人差あり) |
| 6〜12ヶ月 | 再生した構造が維持され、その後ゆるやかに減っていく | メンテナンスの時期 |
即時の効果と遅れて出る効果が重なって現れるのが、高周波の特徴です。 施術の翌日に鏡を見てがっかりする方が少なくないのですが、実際の変化の大半は2〜3ヶ月かけてつくられます。
痛みとダウンタイムはどのくらいですか
どちらの施術も直後に軽い赤みや温かさが出ることがありますが、多くはすぐに落ち着き、当日から洗顔や軽いメイクができる場合が多いです。
痛みの感じ方は個人差が大きく、一概には言えません。XERFは分割照射のため相対的に楽だと感じる方もいますし、サーマクールの強いエネルギー伝達には、より明確な引き締めの刺激が伴います。当日の赤み以外は、日常生活に制限がかかることは通常ありません。
痛みが心配な場合は、我慢して受けるのではなくカウンセリングで先に伝えてください。エネルギーレベルの設定や麻酔の選択肢を一緒に検討できます。
高周波・ハイフ・糸リフトは、役割が違います
日本では「切らないたるみ治療」を調べると、サーマクールとハイフ(HIFU)が並んで出てきます。ただ、この2つはどちらかを選ぶ二択というより、届く層と作用の仕方が違うものです。
| 項目 | XERF(RF) | ハイフ(HIFU) | 糸リフト |
|---|---|---|---|
| 原理 | 高周波熱で面全体を加熱 | 超音波の焦点熱、点状の深部 | 糸で物理的リフト + コラーゲン |
| 作用の深さ | 真皮〜皮下(面) | SMASなど深層(点) | 皮下(構造的リフト) |
| 体感 | 温かい〜熱い熱感 | 点々と深くチクチク | 即時の引き上げ感 |
| ダウンタイム | ほぼなし | ほぼなし | 数日の腫れ・内出血の可能性 |
ハイフは深い層に焦点となる凝固点をつくり、モノポーラ高周波は真皮を広く加熱する——この機序の違いは、両方を扱った文献でも記述されています。たるみがはっきりしている場合は糸リフトと、深い層の立て直しが必要な場合はハイフとの組み合わせを、カウンセリングで検討します。
研究は何を示しているか
モノポーラ高周波は、美容施術のなかでも機序と臨床の裏づけが比較的積み上がっている分野です。以下は施術の原理を理解するための学術文献で、個人ごとの効果を保証するものではありません。
- 6.78MHzと2MHzの熱反応をコンピュータモデリングと組織学で併せて分析した研究では、2MHzが脂肪層により広く深い熱を、6.78MHzが線維性中隔に沿って局所的な熱をつくり、脂肪細胞の死は観察されませんでした。(Ko et al., 2025)
- デュアル周波数(6.78+2MHz)を検証した組織学研究では、照射後にコラーゲン束が太く短くなる変化と、浅層・深部筋膜層の肥厚が観察されました。(Hong et al., 2024)
- 豚の皮膚モデルでは真皮温度が約50〜70℃に達した一方、皮膚表面は約42〜45℃以下に保たれ(赤外線サーモグラフィで確認)、30日後にコラーゲン密度と厚みの増加がみられました。(Park et al., 2024)
- モノポーラ高周波の作用をまとめたレビューによると、制御された真皮加熱で既存のコラーゲンが即座に部分収縮・変性し、そのあとの創傷治癒反応を通じて数ヶ月かけて新生コラーゲンが形成されます。(Kilmer et al., 2025)
- XERFではない別のモノポーラ高周波機器を用いた40名の無作為化比較試験では、1回の施術後にほうれい線部位の平均陥凹体積が1・3・6ヶ月の時点で有意に減少し、重大な有害事象は報告されませんでした。XERFのデータではないため、モノポーラ高周波という方式全般の根拠としてお読みください。(Wang et al., 2025)
根拠の限界も併せてお伝えします。上記の一部は豚の皮膚とコンピュータモデリングに基づくもので、実際の人の皮膚での反応とは異なる場合があります。効果と持続期間は年齢・肌の状態・生活習慣によって個人差があります。
安全に受けるためのチェックリスト
- 禁忌と注意点 —— 体内に金属や電子医療機器(心臓ペースメーカー、植込み型除細動器など)がある場合、高周波は原則として禁忌です。妊娠中の方、施術部位に炎症や感染がある場合も避けます。
- 他の施術との間隔 —— 同じ部位に最近フィラー・糸・ボトックスを受けている場合、施術自体は可能ですが4週間以上の間隔をおすすめします。熱によってこれらが早く分解したり、効果が早めに落ちたりする可能性があるためです。
- 施術後 —— 当日はサウナ・岩盤浴・激しい運動・飲酒を避けてください。コラーゲンがつくられていく期間は、十分な保湿と紫外線対策が結果に影響します。
- 設定が結果を決めます —— 同じ機器でも、エネルギーレベルと照射の仕方によって体感も結果も変わります。ショット数よりも、自分の肌に合った設計かどうかが大切です。
どちらが自分に向いていますか
- たるみよりも「ハリの低下・小じわ」が気になり、刺激は少なめがよい方 → XERFを検討
- その場での引き締まりと、長く積み重ねられた使用実績を重視する方 → サーマクールを検討
- 痛みに敏感な方 → 分割照射の活用や麻酔の選択肢を医師と相談
- たるみがはっきりしている、深い層の立て直しが必要な方 → ハイフ・糸リフトとの組み合わせを検討
- いちばん大切なのは、いまの肌の状態を診ること —— 機器そのものよりも、肌に合った設定が結果を左右します
COCOクリニックのXERFの考え方
COCOクリニックはXERFを数多く施術してきた経験をもとに、部位ごとの皮膚の厚みとたるみの程度に応じて、エネルギーレベルと照射の仕方を分けて設計しています。同じ機器でも設定によって体感と結果が変わるため、一律のショット数よりも「肌の状態に合わせた個別の設定」を優先しています。
参考文献
- Ko et al. Lasers in Medical Science, 2025 — 6.78/2MHzのコンピュータモデリングと組織学. doi:10.1007/s10103-025-04746-8 (新しいウィンドウで開きます)
- Hong et al. Skin Research and Technology, 2024 — 6.78+2MHz複合周波数の組織学研究. doi:10.1111/srt.13821 (新しいウィンドウで開きます)
- Park et al. Journal of Cosmetic Dermatology, 2024 — 豚皮膚モデルの真皮温度とコラーゲン変化. doi:10.1111/jocd.16495 (新しいウィンドウで開きます)
- Kilmer et al. Lasers in Surgery and Medicine, 2025 — モノポーラ高周波の作用レビュー. doi:10.1002/lsm.70087 (新しいウィンドウで開きます)
- Wang et al. Lasers in Surgery and Medicine, 2025 — モノポーラ高周波の無作為化比較試験. doi:10.1002/lsm.70002 (新しいウィンドウで開きます)
- Malaysian Journal of Medical Sciences, 2024 — HIFUとモノポーラ高周波の機序の違い. doi:10.21315/mjms2024.31.1.10 (新しいウィンドウで開きます)
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